病院建築・70
みどり健康管理センターの設計
井戸 昭七
1
1大林組本店設計部
pp.65-70
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205506
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はじめに
新幹線でも,ビルの中のエレベータでも,定期的に精密な検査を受けて整備され,常に安全な状態にあるよう,機械の健康管理を行なっている.これらは強制的に健康管理を受けているのであるが,人間の場合には,機械に比較してまったく放任状態であるといってもよい.健康はたいせつであると,みんなが理解していても,各自の健康管理にどれだけの配慮がなされ,どれだけ健康状態を検査してもらっているかを考えると,まだまだ十分とはいえないだろう.
人間ドックにおける精密な健康診断は,健康人を対象として,成人病の早期発見や健康の度合いのチェック,ならびに,より健康であるための生活指導などを目的として,かなり親しまれてきている.しかし数日間の入院が必要であり,多忙なビジネスマンにとっては,それだけの時間的余裕をつくりだすことも容易ではない.また,費用の点でもかなり高額であり,その恩恵に浴することができる人数にも限りがある.そこで,受け入れ側の問題として,一般の人がもっと受診しやすい設備やシステムを用意する必要性が生じてきた.すなわち短期間に,外来形式で多人数を対象とした,受診料の安価な,それでいて診断レベルを落とさない人間ドックを設けなければならない.そのためには,人間ドックの性格を,大衆性のあるスクリーニングへと移行していかざるをえない.
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