特集 老人医療費無料化の影響
社会福祉制度との調整
田中 多聞
1
1元:悠生園・老人社会医学
pp.48-52
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205183
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はじめに
老人の医療費が無料化されても,老年医学の発達が未熟であり,また,老人医療体系も社会福祉体系についても未確立の現状では,医療および福祉的ケアに混乱がおこることは早くから予想されていたところである.無料化されたといっても,薬物療法(とくに対症療法的)や収容諸経費などの一部が無料化されたにすぎず,有病老人にもっとも必要な諸ケアに関する救済措置がとられておらず,老人患者や家族たちはあいも変わらず入院医療費の高額負担(各種の差額料金)と劣悪医療・福祉に甘んじているのが現状である.本論では,諸問題の現状分析と基本的問題点の掘り下げ,および今後の方向づけなどに関して,老人を中心に置いた視角から述べ,医療と福祉の一元化体系まで論述したい.
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