研究と報告【投稿】
各科共通診療録の管理と実態(第3報)—1患者1病歴制16年間の実態状況
榊田 博
1
,
平島 紀子
2
,
大町 文子
2
1日本バプテスト病院
2医事記録室
pp.120-122
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205033
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はじめに
当院では昭和29年開設以来,1人ひとりの患者の病歴はその生涯を通じて,逐年経過観察記録として保存している.すなわち1患者1病歴制のもとに,外来患者診療録と入院患者診療録とを合冊した総合診療録を,各科共通登録番号により中央管理している.この各科共通1患者1病歴制による診療録管理の実態についてはすでに1患者1病歴の長所および短所,短所として指摘される諸点に対する対処策など報告した1,2).すなわち1患者1病歴制は,1)管理の合理化,病歴の完全保持と中央化が容易,2)診療の適正化,3)医事手続の統一,4)医学研究の便などの長所があげられる反面,1)診療録収納場所の拡大,2)同一診療録に各科が混記,3)診療録の経年増頁,4)2科以上受診時診療録の持ち回り,などの短所が指摘される.
筆者らは先に1患者1病歴制診療録の短所として指摘されている諸点のうち,診療録の経年増頁・増冊に起因する収納場所の拡大という点について,当院における15年間の統計に基づき管理上の留意点について検討した結果,診療録の経年別増頁数に対応した収納場所の確保と,医師の定数と比例して診療録の量が増す関係とにある相関関係とが,1患者1病歴制病歴管理の将来計画を確立させる上で,非常に重要な問題であることを強調した.
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