病院と統計
医療の値段
石原 信吾
pp.10-11
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204954
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今月は医療の値段の問題をとりあげてみた.医療の値段はいわゆる統制価格であって,価格決定者の意向がその全体の価格水準を支配することは当然で,現在それが‘低医療費政策’という名で呼びならわされていることは周知のとおりである.したがって,その全体に対しては,それを低く抑えるような圧力が働いているのであるが,個々の医療行為の値段については,それをどう決め,どう改訂していくかは,それぞれに対する評価や考え方の推移にしたがって,相異が出てくる.
とくに,最近10年ほどの間の,医療の分野における学問的進歩と技術開発は極めて著しいものがあり,値段表すなわち診療報酬点数表には次々に新しい医療行為が追加されてきた.つまり,値段表の項目数が非常に増えてきており,しかも追加分は高度の医療行為が多いために,値段も上り,これまでに見られなかったような高額のものが目にとまるようになってきた.そのために,最低と最高の値段の差は著しく開いてきている.ただし,その最高のものの価格が適正であるかどうかはまた別の問題で,おそらく,そこにも当然低医療費政策の圧力は及んでいるものと思われる.新医療行為の追加は,いうまでもなく手術と検査の分野に多い.しかし,使用薬剤の分野にもいわゆる高価薬なるものが次々に姿を見せ,図には出さなかったけれども,同様の図を作ってみればかなり興味深いものと思われる.
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