時評
防災常識の徹底と訓練
てん
pp.58
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204709
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相次ぐビル火災と横市大付属病院長の辞任
昨年の暮,韓国ソウルの大然閣ホテルの大火の時多くの日本人は‘まさか日本ではあんなことにはなるまい’と心のどこかにひそかな気のゆるみをもったのではあるまいか.ところが,それから半年もしないうちに118人の死者を出す大阪千日デパートの大火である.昔,日本の家屋は木と紙でできているから,外国の石の建物に比べて燃えやすいものと考えていたせいか,近代ビルがどうしてあんなによく燃えるものなのか,日本人にはピンとこなかったのではないだろうか.
建物は,現在,建築基準法,消防法,労働基準法医療法など,法的基準を作って,それぞれの立場から利用目的によって,よりよい安全な建物にするよう指導はされているが,必ずしも満足のいくものではない.過去,温泉地のホテル火災などのたびに関係当局はなにをしていたか,平素の訓練がたいせつ,諸設備の強化だなどと,テレビ・新聞でくり返し叫ばれるが,ひと月もすると,防災のボの字もなくなってしまうのが常であった.
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