麻酔科医日誌・6
社会保険点数をめぐって
山下 九三夫
1
1国立東京第一病院麻酔科
pp.72-73
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204349
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まず資料を‘昭和23年頃に麻酔に関する社会保険診療報酬が制定されたが,当時は日本に麻酔を専門とする医師がいなかったので,手術者の責任において手術料のほかに低廉な麻酔点数が設定されていたにすぎなかった.たとえば心臓手術の麻酔に際しても,手術料2万300円に対し麻酔料は2000円にすぎず,更に術前術後の監視,管理料もなかった.大部分の麻酔は手術料に含まれるものとの判断で,独立請求の習慣がなかったため,今日の大きな不合理が招来されている.すなわち乙表では脊椎麻酔は1512円以下の手術または処置でなければ麻酔料はとれない.また乙表には筋注麻酔や注腸麻酔の点数がない.麻酔科医師が独立して開業しても,他の病院に出張して麻酔を行なった場合,独自の麻酔料を自ら請求できない不合理がある’--
これは昭和42年5月24日,‘緊急措置を要すべき社会保険診療報酬の資料’の‘麻酔料についての歴史的展望’として提出されたものである.
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