霞ガ関だより
血液問題の現状と推移
pp.117-119
発行日 1970年8月1日
Published Date 1970/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204061
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戦前においても,輸血は疾病の治療に際して小規模に行なわれ,主として患者の近縁者を対象とし,これを医療機関に集める,いわゆる枕元輸血が行なわれていた.これ以外にも供血者を医療機関に斡旋する業者があり,これに対して昭和20年に輸血取締規則が制定され,供血者の保護がはかられていた.当時は血液の需要も少なく,戦争の混乱中にありながらも,血液問題が現在のように大きな社会問題として取りあげられることはほとんどなかった.
戦後,上述の観則には昭和22年の新憲法の発足と同時に失効し,以後数年間,血液問題は野放しの状態となった.一方,社会秩序の回復に伴い,戦争中閉されていた欧米との学問の交流が再開されるとともに,わが国の医学も飛躍的な進歩を遂げ,なかでも外科領域において麻酔学の進歩,抗生物質の開発などにより患者管理技術の向上がはかられ,外科的手術は増加し,輸血用血液は質量ともに急激な需要増を来たすこととなった.
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