グラフ
1万人の看護婦集会—昭和45年度日本看護協会総会(4月25-27日 東京都)
pp.66
発行日 1970年6月1日
Published Date 1970/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203992
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会場は花をまき散らしたように色彩豊かな集合であった.ひと昔前の会場は,おもに紺と黒と白とが交差して,どちらかといえば沈うつな色彩であったのだが.女性がおおぜいを占める武道館の中は,一種特有のにおいに満ちて,まるで一瞬足元が雲に乗り,遠い視線が色に霞んでゆくような錯覚を感じさせる景色であった.
1階中央は代議員席,おもな一般参加席は2階3階にあって,正面の一角を除き,ほとんど満席に近かった.全員がただ黙して静かであり,議長団と発表者とがマイクを占有していた.プリント類もくまなく配布され,その内容説明は1字のもれもない."ページをめくって…"という一声に,会場全体のページめくりの音があたかも潮音のようにわきあがって消える.その忠実な行為のくりかえしは,個人主義や自由をたてまえとしたそうぞうしい現代の中では奇異に感ずるほどの統一されたリズムであった.
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