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—近藤文二編—「医療費問題」
川上 武
1
1杉並組合病院
pp.91
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202837
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医療費問題を与える好材料
医療問題が医療費問題としてクローズアップされてくるところに,わが国の医療の不幸がある。勤務医師・看護婦の不足,インターン問題にみられる医学教育の混迷,医療機関の都市集中,保健所の動脈硬化など,どれ一つをとってみても簡単に解決できる問題ではない。これらは根源的には,医療経済というよりむしろ国の経済・政治のあり方と密着しているので,医療費問題の部分的解決だけではどうにもならない性格をもっているはずである。
ところが,現在の医療機構を自動車にたとえれば,ボデーや運転者の問題は現状のままで無理おしするとしても,ガソリンのほうはやりくりできないといった形で社会問題になっているのが,いまの医療費問題である。このような発想にたてば,ガソリンの単価とガソリン消費の増大の直接的原因のみに分析の視角がむくのも当然であろう。「問題だらけの医療費」(健保連,昭和40年8月)もそうだったが,「医療費問題」にもこの傾向がうかがえる。
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