病院の広場
病院監視と病院経営管理指導要領によせて
宮崎 達
1
1国立国府台病院
pp.21
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202823
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年度末になると,例年のごとく,保健所病院医療監視が行なわれる。病院監視が,現在のような形式で開始されたのはたしか昭和23,4年頃ではなかったかと記憶しているが(この点に関してはあまり自信はない),いずれにしても,時代がマニトフ旋風など進駐軍の威勢の強い頃であり,調査に当たる県や保健所もまた調査される側の病院も皆随分緊張して,病棟内外の清掃だ,破損個所の修繕だ,帳簿の整理などと大騒ぎして万全を期した想い出がある。お蔭で,前近代的な運営のオンボロ病院もどうやら最低の基準には合格するようになり,全体として,わが国病院の向上発展には随分役立ったものと思う。
ところで戦後20年,わが国の病院も中央地方を問わず近代的な立派な建築と設備を誇り,物的,人的な診療内容も格段に充実して来た今日では,この監視制度もマンネリズム化したとでもいうか,監視する保健所も受けるほうの病院も,何となく年中行事をお座なりにやっているといった感じがないでもない。調査内容は,もちろん少しずつ改廃されていってはいるが,基本線は何といっても昔年のそれと大差なく,今日の病院を測る物差しには適合しなくなっていると思う。
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