病院の広場
院長の仕事
武藤 多作
1
1松江赤十字病院
pp.13
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202798
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私は昭和12年,当時の満州国奉天の日赤病院から,現在の松江へ転勤して来たので,今年で正に29年間院長をつとめることになる。今過去を振り返えって見ると,病院の運命は実に波瀾万丈で,よくここまでやらて来たと思うが,考えて見るとその中心をなすものはやはり「人の和」ということだったと思う。
院長の仕事は診療と管理との2方面があるのが普通である。しかし近頃は医師としての本来の仕事よりはむしろ管理という方向に非常に心と体とを使うようになって来たことは,実は私自身非常に不本意であり,これはわが国の医療のあり方が,ますますよくない方向にむかいつつある実証だと残念に思っている。
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