病院の広場
病院運営の問題点
古玉 太郎
1
1京都第二赤十字病院
pp.13
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202711
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院長に就任して30年,その間25床の当院は,600床の収容力を持つまでに発展した。太平洋戦争中は,医師や物資の不足と戦いながら,定員の2倍の傷病兵を収容し,軍病院としての努めを果たした。戦後数年間はひどい労働攻勢で苦闘した。さらに病院の移転,改築,増築,救急分院の創設など,種々雑多の問題ととりくんだ。その間職員の協力で,大体近代病院としての方向に進んだとはいえるが,なお管理面においては改善を要する点が多々あると思う。小病院から漸次大きくなったのでやむを得ない点もあるが,この点がやがて今後の発展を阻害するようなことにならないかと懸念している。
近時,国民の医療についての関心が高まり,生活や医療の水準も上昇し,病院の設備は一層の拡充,充実がのぞまれている。しかも物価は遠慮なく高騰する。職員の待遇面においても,定期昇給はもちろん,ベースアップもやらなければならない。かくて病院支出は必然的に著しい増加の傾向にある。これに反し収入の増加は,医療費についての抜本的の改革のないかぎり大きな期待はもてそうもない。そういう次第で,支出の増加に収入がともなわない矛盾は,病院経営をますます困難にする。しかも入院外来患者はともに増加の傾向にある。この人々に快適な療養設備を提供し,行きとどいた診療をすることは,私どもの責務である。この困難な現状の打開にはどうしたらよいか,まったく頭のいたい問題である。
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