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わが国における病院の公衆衛生活動の現況とその考察(Ⅵ)—衛生教育,栄養指導,医療社会事業,救急業務,救護班,健康管理,及び医療開発(附属診療所,出張所,巡回診療)の各領域における公衆衛生活動
原 素行
1,2
1早稲田大学診療所
2病院管理研究所
pp.676-686
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201838
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まえがき
本稿は,厚生科学研究「病院における診療活動と公衆衛生活動との連繋方式に関する研究」の分担研究者として,提出した表題各章の報告の概要である。これら各章の総括及び各論の記載に先立つて,特に注目を要する事項について,少しくマークしておきたい。
本調査研究の開始に際し,既に,予想したことではあるが,これらの諸業務が,病院の義務として,行われたものは少く,いずれも,病院の善意によるものであることが判明した。この原因として挙げ得ることは:—①病院の費用が,殆んど医療費1本によつて賄われているため,公衆衛生に関する病院活動が思うに任せぬこと。②病院の医療収入は,患者の直接診療によるものに止り,間接に患者に利益を与える病院業務に対する財源を医療収入に期待し得ぬこと。③医療が広域化するに当り,その必要性を病院活動に盛り得ない現状について,多くの問題点を示している。また医療担当者側が,「明日の病院は如何にあるべきか」という近代社会と病院活動との繋りについて,稍々懐疑的な若干の意見をもつことを察知し得たが,それは,これまでの医学数育の問題点だけでなく,医療行政及び医療経済問題へも,強い示唆を与えていると思われる。
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