病院長プロフイル・48
国立国府台病院長 黒沢良臣先生
pp.672
発行日 1957年10月1日
Published Date 1957/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201276
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明治40年と云えば今から丁度50年前,其の頃生れた人達は現在各地の病院で油の乗り切つた活躍をしい居る訳だが,其の明治40年に大学卒業,其後呉秀三教授の医局,松沢病院,熊本医大等に歴任された半世紀に亘る精神神経専門家としての生活は其の侭我国精神医学会の生きた歴史を物語る最長老の存在である。事実日本精神医学会の黎明期たる榊,呉教授時代から精神病院ブームの今日に至る迄,色々のエピソードを秘めた先生の想い出話を聞いて居ると,過去の姿が如実に眼前に浮び上つて来る思いがする。何とか此等の話を記録して置いて日本精神医学発展史の貴重な資料に残したいものと切望される。殊に日本の精神病専門家には妙に親子代々専攻して居るという人が多い様に思われ,先生の話にも現役の人達の先代,先々代等の逸話等も窺われて甚だ興味深い。
国立国府台病院長に就任されたのは昭和25年,大学同期の国立病院長としては他に,加藤仙台,塩谷高崎,早野豊橋の諸氏がある。西野東二院長に次ぐ元老組として国立病院に鼎の重みを加えられて居る。併し定員や予算其他雑多の法令でガンジガラメに縛られた国立病院の運営は中々容易なものでなく,殊に完全看護に端を発した先年の労組との間のトラブルには一時可成り悩まされた様であつたが,現在は病院も一路発展の途を辿り,病棟の新築整備も緒に就き,悠々運営に当つて居られる。
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