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病院と統計
小沢 龍
1
1厚生省統計調査部
pp.2-4
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200732
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小さい病院であれば,毎日の収入を院長のポケツトに入れ,支出すべき経費は必要の都度院長のポケツトから出していけば,事務員は傭わないで済むし,一見安上りの経営法の様に考えられる。しかしこれでは収入の内容が判らず,支出の細目も忘れてしまうから,経営の合理化をやろうとする場合,手懸りが得られぬことになる。収入や収出に限らず,病院業務の実態を常に数的に把握して置くことは,病院を進歩向上させる上に不可缺に要件であり,多少の事務費がかかつても却つて経済的であると考えて良い。
病院経営上吾々が常に数字に表わして掴んで置かなければならぬ項目は沢山ある。患者に就ては,入院外来を区分し,診療科別に分け,実数と治療延人員を毎月計算しておけば,病床の稼働率,廻転率,平均入院日数,平均通院日数,往診件数,患数の地域的分布が判るし,季節的消長や将来の動向——従つて病院の盛衰傾向——も予見出来る筈である。
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