病院長プロフイル・6
聖路加国際病院長橋本寬敏氏——「租界病院」に育てた新しい精神伝統を守つた功績は大−-
pp.92
発行日 1953年11月1日
Published Date 1953/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200724
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病院のあり方も戦後随分変つた様である。総婦長制,完全給食,中央検査室,社会事業部,インターン制度,こんなものを聖ロカ病院は大昔からやつていたのである。それもその筈で50年前米人宣教医師のトイスラー博士の創めた病院は日本の習慣や,人情を無視して純米国式病院を東京の真中におつたてたのであるから。
しかし,聖路加システムは,決して日本の医学界に根をおろしはしなかつた。あまりに根強い大学病院流は聖ロカ病院を単なる離島か,租界としか見なかつた。それには当時の病院スタツフの同システムに対する理解と,自信を欠いでいたからである。トイスラーから与えられたものを,単に表面的に真似するだけで,真の意味を理解しようとせず,従つてこれを日本の医界に積極的にインタープレートしようとする人がいなかつたのである。
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