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救急室
今村 榮一
1
1厚生省病院管理研修所
pp.22-26
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200519
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病院における外來患者の診療時間には制限がある。病院は入院患者の診療が本筋だからと外來を早く切り上げてみても,患者は時間に關係なく診療を求めにくる。救急車で送られて來ることもある。又日曜,祝日などに來院するものもある。こうして不時に病院に來る患者を「緊急患者」とも「臨時患者」とも「定時外患者」とも呼ぶことができよう。ここでは簡單に「急患」という名稱で取扱つていこうと思う。この急患をどこでどういうふうに處置するかということは少し大きい病院では無視できない問題である。外來が閉つてしまつたら病棟で診察すればよいではないかと簡單に解答を出す人もあろう。そして現在大學の附屬病院はじめ多くの病院では各科毎に病棟で診察していることが多い。しかし多くのところでそうしているからといつてそれで割り切れているわけではないらしい。病院が患者のための病院として本來の機能を發揮することを期待する際には,この不時の來客をどうもてなすかを一應考えてみることは必要であろうと思う。
病棟に外來の患者を入れるということは病院のあり方からいつておかしいことであり,又不利な點が少くない。病室は靜かであるべきものであつて,外來者などで騒しくなるべきものではない。又患者が麻疹,百日咳,赤痢,ジフテリア等の傳染性疾患であつたならば院内感染をひきおこすおそれも生じてくる。
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