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醫療社會事業技術論(I)
松尾 友重
pp.31-36
発行日 1952年7月1日
Published Date 1952/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200511
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最近醫療社會事業について一般の關心が高まつて來た故か醫療社會事業についての論議が多く聞かれるようになつた。例えば「醫療社會事業とはSocial Case Workの一タイプである」とか,「醫療保護事業という形で表現されるときは全醫療組織を含み,醫療社會事業といわれるときは病院内における社會事業部の活動範園を意味するものである」とか,或いは醫療社會事業は「醫療における新しい方式の一つである」とか,いや「純粋な社會事業の一部門」なのだ,といつた樣に。その何れもが夫々の立場から異なつた視角に於て語られ主張されて居るものであり,それだけに醫療社會事業の今後の發展の上に大きな期待がかけられて居るわけである。とにかく醫療社會事業はそれがどの樣な形式と内容を持つにせよこれからの醫療機關において缺くことの出來ない裝置として要請されることは確かである。社會保障制度という畫期的な制度が完全に實施される時には一層このような樣能が要求されるであろうし又缺いてはならぬものなのである。さて今まで醫療社會事業の技術というと單にMedical Case Workのみが語られ,あたかもそれ以外の技術はないかの如き状態であつた。もとよりCase Workが醫療社會事業の技術において占める地位は重要であり,これを缺いては近代的醫療社會事業は成立し得ないことはいうまでもないことである。然し醫療社會事業はCase Workのみで成立するものではない。
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