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病院活動の研究會—病院各部門の業務は何れも一人一人の患者に繋りがある
原 素行
1
1都立廣尾病院
pp.5-17
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200481
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はしがき
病院の各部門の業務は綜合された病院活動として,恰も一貫作業のような流れ方の必要があることは當然であると云える。然し屡々セクシヨナリズムの排除の聲を聞くのはどうしたわけか。端的に云えば各部門の横の連絡を缺く多年の習慣が「病院の各部門が一人一人の患者に繋りがある」という量要なる事柄を忘れているからではあるまいか。こゝに吾々の反省は,病院業務の偏狹さという長い習慣を捨て去つて,近代社會化した市民生活への貢献者として,はじめて病院の存在意義を明確にし得るものと思う。更に診療部門についても患者という對象を如何に取扱うべきか,顧て反省すべき多くの事柄を見出すことが出來ると思われる。
科學的なつもりの診療に,意外にも科學性を缺いた不用意はなかつたか,各科の分立は科學的診療に反したら又患者へのヒユーマニテイを忘却したら,又診療と看護の效果が患者の生活環境という科學的條件によつて左右されることを強調する者も極めて少く,却つて之を社會問題のフアクターとして自然科學の分野から斥けられたら等々,遠き過去にさかのぼつて多くの過失に氣がつかざるを得ない。そして之れが我國の病院に於ける眞の姿ではなかつたか。
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