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病院經理の基礎知識(1)
山元 昌之
1
1滋賀大學事務局
pp.5-12
発行日 1951年6月1日
Published Date 1951/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200331
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序
終戰後,病院の經營管理について病院人の關心が漸く高まつてきた。殊に厚生省の病院管理研究所が活動を開始してから急速に眞劍な研究熱が起つてきたように見える。さきに拙著「病院經理の理論と實際」を出したのも,このような要望に應えるためであつた。ところがこれは,未だ先人の業績がないので先ず體系づけることに主力を注いだため,この方面の豫備知識のない讀者,即ち醫師,或は事務人でも官廳會計だけの經驗者等には理解され難い箇所が多い。勿論病院には經營專門家が配置されてはいるであろうが,醫師であつても院長,副院長のような經營責任者は勿論,各科長,藥局長のような責任の地位にある人達は一應の經理常識を備えていなければならない。經營責任者には經營の技術的な管理面の知識だけでなく,經營理論の知識が必要であるからである。それで醫學部で醫事法制の講義があるのと同程度に專門外ではあるが,醫師に最少限の常識として知つていて貰いたい程度のことを纒めたのが本稿である。その目的に應じて,本稿では經營分析,豫算統制,原價計算等について前著以上に詳しく取扱つた。これらの項目が經營責任者にとつて極めて重要であるからである。又一面これらの部分は前著の補遺としての目的も持つているので,豫備知識のある讀者にも幾らか御參考になれば幸である。
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