特別記事
災害に強い病院とは
小林 直樹
1,2
1鹿島建設株式会社 建築設計本部 日本医療福祉設備協会
2病院設備の災害対策ガイド作成ワーキンググループ
pp.474-478
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102548
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平成23年厚生労働省データによると,現在,国内には診療所を含め1万9290の医療施設が存在する.このうち災害拠点病院は2011年1月時点で609施設であり,全体の3.16%が指定を受けている.また,2009年の内閣府調査ではBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)が策定されている医療施設は4.8%,BCPを知らない割合は73.4%という結果になっている.「災害拠点病院」や「病院BCP」は1995年の阪神淡路大震災以降に重要性が指摘されるようになってきた比較的新しい考え方のため,既存病院の多くは十分な対策が取られていないというのが実情である.
災害拠点病院は災害時の医療の拠点となるため建物の耐震化や備蓄,設備の信頼性も高いものが求められている.例えば,東日本大震災の発生後開催された厚生労働省の審議会『災害医療等のあり方に関する検討会』において災害拠点病院の要件について審議されており,そこでは非常用発電機の用量は通常時の60%程度,運転するための燃料備蓄量は3日分程度確保しておくことが必要であるとされている.では,災害拠点病院の指定を受けていない残りの97%余りの医療施設では,災害対策として何をどこまで備えておけばよいのだろうか.特に中小規模の医療施設では行政からの援助も十分ではなく,ほとんど自助努力で対応せざるをえない状況にある.
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