連載 病院が変わるアフリカの今・10
予算のない国立病院が選んだ日本式経営
池田 憲昭
1
1独立行政法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力局
pp.766-769
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102365
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
国からの予算がない国公立病院
コンゴ民主共和国(以下,コンゴ)は,アフリカ中央部に位置する広大な国で,人口約7000万人を擁する.首都キンシャサでは2010年の大統領公邸襲撃事件以降は大規模な内戦もなく,次第に安定しつつある様相だが,国土の東南部は天然資源が豊富であり,隣接9か国と国境を共にしているため紛争が絶えない.情勢は依然不安定という見方が大勢を占めている.
一般に,フランス語圏アフリカの公的病院では,正規職員は国(公務員省)から給与が支給され,病院運営予算は保健省(財務省)から支払われる.しかし国家予算の乏しいコンゴでは,国公立病院の運営費用は各施設の負担,すなわち利用者負担となっており,国民の大半を占める貧困者には,保健医療サービスの利用に大きな壁がある.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.