連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第154回
患者・高齢者の新しい居住形態二題―健院L-CUB八山田
石井 久克
1
1株式会社エスデー設計研究所
pp.971-974
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101067
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2006年6月,福島県郡山市八山田に,医療・介護施設と住宅,コンビニエンスストア,レストラン,メディカルフィットネスクラブ,保育園などを一か所に集約した複合型施設「健院 L-CUB(エルキューブ)八山田」が竣工した.民間企業((株)エヌジェアイ)が現行基準に縛られない,まったく新しいコンセプトで創った,自宅と病院の中間施設である.ここでは,退院したばかりなどで健康に不安を抱える人たちが「小さな街」で生活でき,介護の必要な人が社会生活への復帰を目指すリハビリ施設として活用できる.施設は「居住ゾーン」「ライフサポートゾーン」「ショップ・レストランゾーン」の3つで構成され,他に90台の駐車場を備えている.
したがって,本施設の設計に当たっては「小さな街」をイメージさせ,かつ周辺の街に対して閉鎖的にならず,入居者以外の様々な人々が,様々な目的で気軽に訪れ,過ごすことのできる街創りを目指した.よって施設は一体化せず,各ゾーンごとに分節切り離し,ゾーン間の隙間スペースを,街のエクステリアゾーンとして設えをした.昼時には行列もできるレストランにはオープンカフェも設えてある.小規模ながらも,多くの機能・要望を抱え,かつ国内では初めての試みであることから,最後まで検討を加え調整を行った.設計者以上に橋本社長および担当の方々の大変な苦労の結果でき上がった「小さな街」である.
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