特集 病院空間とまちづくり
【コンパクトシティ事例】
―長野県飯田市―商都から生都へ
粂原 和代
1
1飯田市産業経済部商業・市街地活性課
pp.850-852
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101035
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飯田市(人口10万7,000人)は長野県の南部に位置し,南アルプスと中央アルプスに挟まれた「伊那谷」の中心都市であり,周辺14町村が1つの生活圏域を形成している独立した生活圏域である.
市域の中ほどを流れる天竜川の平地部から,河岸段丘,山裾に広がる農地,そして山地深く集落が入り込み,変化に富んだ地形は四季折々の自然景観が美しい.城下町として栄え,江戸から明治の時代は信州第一の経済都市・商都でもあった.水引などの伝統工芸をはじめ地場産品と海産物等の交易も盛んで,生産地・商都の機能として繁栄したが,その後,近代産業の発達とともに道路,鉄道の遅れた当地は次第に取り残されることとなった.1980年代に入り,東京~名古屋間の中央自動車道路が開通し,相前後してモータリゼーションをはじめとする近代化の荒波を受けることになった.
産業面では,農業(果樹,野菜,畜産等),工業(電気精密電子等の近代工業と水引工芸,食品等の地場産業)に加え商業と,農・工・商バランスの取れた地域である.
また,文化面では多様な伝承文化に加え,29回を数えるわが国最大規模の「人形劇フェスティバル」,19回を重ねる「アフィニス夏の音楽祭」があり,昭和22年に中心市街地の大半を焼失した大火からの復興シンボルとして街の中心で育てられているりんご並木(写真1)とともに,「人形劇の街」「りんご並木の街」として全国に名を知られている.
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