特集 公私の役割分担とイコール・フッティング
他会計からの繰り入れ(補助金)の実態
鈴木 玲子
1
Reiko Suzuki
1
1社団法人日本経済研究センター
pp.117-121
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100760
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診療報酬引き下げや患者自己負担引き上げなどにより病院経営は厳しさを増している.こうした中で,国立病院と県立病院や市立病院など公立病院(地方自治体病院)などへは「他会計からの繰り入れ」として多額の補助金が投入されていることに,利用する国民から見ても民間病院からも疑問が投げかけられている.「他会計」とは地方自治体の予算のことで,「繰り入れ」とは負担金や補助金の名目で支払われる資金を指す.ここでは,これら他会計からの繰り入れに国庫補助および都道府県補助金などを合わせた税金投入全体を「補助金」と呼ぶこととする.こうした補助金に頼ることができない病院からすれば,公的病院は補助金に見合った仕事をしているのか,本当に補助金は必要なのか,などはごく当たり前の疑問である.
本稿では,公立病院の補助金の実態を示すとともに,補助金をより効率的に使う方法を考える.医療政策の目的達成のために,公立病院と民間病院とを対等な立場で競争させ,より公共性の高い医療を提供している病院へ補助金を重点化させることが重要である.
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