クリニカル・ヒント
運動時の脈拍の診かた
牧田 光代
1
1聖マリアンナ医科大学病院
pp.478
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103824
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最近,PTの対象患者は高齢化に伴い,循環器疾患特に心疾患が合併する割合が多くなっている.このような人々の訓練をより安全に行うために,通常安静時ならびに運動時の血圧と脈拍に注意する.今回はそのうち運動時の脈拍の診かたについて,その背景をどのように考察していくのかを考えてみたい.
運動時の安全性を規定したAndersonの基準では,安静時100拍以上,運動時140拍以上では訓練は中止するということが示されている.が,これはきわめておおざっぱである.この基準に従えば20歳の患者と70歳の患者の運動時の脈拍140が同質になってしまう.これでは,例えば70歳でも120拍なら安全であるということにもなる.ほんとうにそうであろうか.もちろんこれはまちがいである.なぜかというとAndersonの基準には,最大心拍数は加齢とともに減少すること,また同年代においても最大心拍数は10~15拍の標準偏差を有してバラツキが認められることの二点を考慮に入れていない.そのために運動時脈拍数の個人差を考察することができないのである.
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