特集 循環機能の正常値
脈拍数
池田 正男
1
1東京大学医学部中尾内科
pp.1000
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201695
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正常の状態では,脈拍数は心拍数に等しい。心拍数は,神経性および体液性の影響を受け,ことに神経性の影響を強く受ける。また年令的にも異なり,大人では毎分の平均心拍数は64〜80である。乳児や子供では大人より早い。年令群による毎分心拍数の正常範囲は右表のごとくである。
心拍数は心臓の洞結節の刺激発生の状態によって決まるが,洞結節の刺激発生は主に自律神経によって調節され,延髄にある交感神経性心臓促進中枢と迷走神経性心臓抑制中枢の緊張によって支配されている。この延髄中枢は頸動脈洞反射などの調節神経機構によって反射的な支配をうけていて,また大脳皮質視床下部などのさらに高位の中枢からの支配をうけている。交感神経の緊張が優位となれば,心拍数は増加し,副交感神経(迷走神経)の緊張が優位になれば,心拍数は減少する。このような心拍数の調節は,体の組織の血液量の需要に応じて,分時心拍出量を十分に保とうとする生理的調節の上に,大きな役割を果している。
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