創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
鼻—症候と疾患
鼻閉
長谷川 誠
1
1東京医科歯科大学医学部耳咽喉科
pp.768
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208730
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鼻閉は鼻疾患の際の主たる自覚症状の1つである。鼻疾患のあらゆるものがこれと関係があるといつても過言ではないので,ここでは,個々の鼻疾患の際の鼻閉を論ずるのではなく,一般的な鼻閉のメカニズムを紹介したい。
まず鼻閉を客観的にみるには,鼻の呼吸抵抗,すなわち鼻腔抵抗の面から観察する鼻腔通気度測定法がある。自覚症状である鼻閉と他覚的所見である鼻腔抵抗の間には,当然のことながら密接な関係があり,鼻閉の著しい症例では一般に鼻腔抵抗は大きい。しかし自覚症状には個人差があり,鼻腔抵抗の大きさで鼻閉をはつきり規定することは困難である。たとえば正常人の鼻腔抵抗は,報告者によつても異なるが1.0〜3.0cm H2O/L/secの幅がある。鼻腔抵抗が3.0cm H2O/L/secでも鼻閉を訴えない人もいる反面,これより小さい鼻腔抵抗でも鼻閉を訴える人も見られる。
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