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Ⅰ.緒言
頭頸部悪性腫瘍に対して放射線治療が普及しており,そのための早期障害としての局所的,全身的影響は致し方ないものとして認められている。しかしながら過去の放射線治療による晩期障害としての悪性腫瘍の発生3)4)8)9)(radiation cancer)は悲惨であり,とくにそれが大正,昭和(戦前)時代において良性疾患に正当な治療手段として用いられただけに問題が多い。ところが戦後の悪性腫瘍に対する放射線治療の進歩と治癒率の向上により,本法による永久治癒率が上昇しており,その結果再び発癌するという症例群25)を経験するようになつた。頭頸部悪性腫瘍の臨床においてこのことは銘記しておかねばならないと思う。私どもの腫瘍外来において取扱つた症例は36例(1961-1972)に達したのでその臨床と病理の概要を報告したいと思う。わが国の頭頸部領域のradiation cancerの報告例は比較的少なく,塚本・田崎5)の7例,菊池6)の2例,多喜乃11)の1例,野村13)の1例,永田14)の1例,高橋・北島15)の54例,松岡17)の8例,山下18)の8例,佐藤20)の10例,田口21)の1例,松村24)の3例の約100例である。しかしその疫学的な統計資料はなく,その実態については不明である。
Thirty six cases of radiation induced carcinoma in the regions of the pharynx, larynx, thyroid and face are reported. In 28 of these cases the cancer occurred as a consequence to irradiation therapy for benign diseases and the 8 others following irradiation therapy for the cancer of pharynx, larynx and thyroid which was primarily successful in each case.
In 5 cases the possibility of the presence of multicentric field of carcinogenisis is noted. Furthermore, in 6 cases duplicate carcinomas in the irradiated region as results of localized reaction are, also, recognized.
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