興味ある経過をたどつた喉頭ニスタグムス症例

LARYNGEAL "NYSTAGMUS"

　I．はじめに

　喉頭部に不随意運動をきたす疾患は比較的少なく，1886年Spencer^1）のPharyngeal and Laryngeal Nystagmus症例の報告以来喉頭ニスタグムスと名付け報告されているが，その成因などの判明した症例は稀である。

　著者は最近，小脳半球出血により喉頭部の不随意運動をおこしたと思われる例で，しかも治療により諸症状が軽快した症例を経験したのでここに報告し，その成因などについて若干の考按を試みたい。

　A woman, aged 45, complained of symptoms of what appeared to be a laryngeal "nystagmus" The x-ray examination showed a lesion in the cerebellar region that proved to be a hematoma.