Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.まえがき
吾々耳鼻科医が日常最も多く接するのは鼻疾患者である。云いかえれば,吾々の最も重要な仕事は鼻疾の治療である。にも拘わらず多くの医師はこの方面に関心がうすく,なかば治療をあきらめているような状態ではあるまいか。一方,多くの患者が鼻疾に苦しんでおり,しかも手術を受けたが少しもよくならぬという訴えに屡々出会うのである。私は地方都市の一小病院で診療に従事して10年以上になるが,以前から副鼻腔手術の成績が公平に見てどうも芳しくないと感じていた。そして,それは私ばかりでなく,先輩の諸大家に於ても同じであると認められた。私は従来の手術に疑問を持ち,一時は手術することに意欲を失っていた。丁度その頃,今から4年前になるが,西端教授が「高橋研三式手術」を耳鼻咽喉科誌上に紹介されたのである。私はそれを読んで何か思い当る所があり,思いきつて追試を始めた。所が予期以上の成績を得て,吾ながらびつくりした位であった。そこで更に実際に高橋博士の手術を見学し,二三御教示を受け,それ以来この手術方法を採用して,今日に至つている。症例はこの4年間に400例以上に達し,慣れるに従つて治療成績も向上し,何よりも患者から感謝されるようになつた。少くとも従来の手術の結果と比べたら,雲泥の差である。未だ遠隔成績の整理までは手が廻らぬが,ここでは今までの経験から,鼻副鼻腔炎に関して少しく考えたことを述べたい。
In the recent 4 years the author has per-formed Takahashi's nasal plastic operation in 400 cases. The results of his experience are summed in following conclusions:
1) The present method of operation is aimed at re-construction of the nasal cavity and therefore, it has a fundamen-tal difference from the type which is commonly practiced heretofore which is satisfied by merely removing the patho-logical mucous membranes. Consequently, there seemed to many special operative technic required in this operation. The author has divulged on these points.
2) The author maintains that, though thecommonly a known method of sinus opera-tions are widely practiced, such method is in itself irrational and the present method is emphasized as an antithesis to the old.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.