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Tympanoplastikについて
山田 喜郎
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1東京警察病院耳鼻咽喉科
pp.15-20
発行日 1959年1月20日
Published Date 1959/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202162
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最近の耳科学会に於てTympanoplastikがtopicの一つであることは何人も異論のないところであろうと思う。それは昨年の岡山の総会に於けるTympanoplastikに関するSynposiumを見ても分るし,又New Yorkの第6回国際耳鼻咽喉科学会に於ける十数題に上る発表があつたことを想起しても此の間の事情は充分に分ると思う。更に,外国ではstapes mobilizationが盛んに行われている様ではあるが,日本にはotoskleosisが少い関係上余り発展しそうにない。もつとも中耳炎残貽症に対する多少の適応症はあろうけれども。
ところで,Tympanoplastikに関する報告が最近ではかなり発表されているので少しく系統だつて文献を調べて見ればその大体は分ると思うが,しかし一般には必ずしも充分に理解されていない様にさえ思える。そこで,こういつた綜説的のものを書くのも強ち無駄ではない様に思つたので,こゝに書くことにした。書いてしばらく放つておいてみた。今見ると必ずしも満足なものとは思えないが,一応このまゝで投稿することにした。というのはTympanoplastikは発展してきてからまだ日が浅い。従つて,今後に於ていろいろの点で,例えば適応の点で,或は手術手技の点で,或は予後の点で,或は移植の問題について,或は又聴覚理論の問題について,幾多解決して行かなければならない問題が残つている。又自分の手術経験例については勿論今後順次に報告してゆくつもりでいるが,今後更に折にふれて尚2〜3回書き足して補いたいと思っている。
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