特集 耳鳴と眩暈
第1章 耳鳴
Dandyの第8脳神経切断術の所感
小田 大吉
pp.778-784
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201457
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Dandyの手術に対する所感を求められたが,Dandyの死(1946)後その手術例578の成績をGreen及びDouglasが報告(1951)してより既に4年を過ぎ,Ménière氏病に就ては尚幾多未解決の点はあるにしても,頭蓋内前庭神経切断の価値と適示に関する限り少くとも英米に於ける学者の見解はその帰する所略々明らかになつたと思われる今日,Ménière氏病手術の経験僅かに12例,殊にDandyの手術にいたつては僅かに1例に過ぎない私にこの求めに応ずる資格ありとは考えない。然しながら1937年秋より38年夏にかけての在米研究中,当時Ménière氏病に特別なる興味をもち,注意す可き見解を抱いて居られたCrowe教授の下に在る間9ヵ月にわたつてDandyの手術を見学し屡々その前庭神経切断の実際を見,M氏病に対する理解を与えられたことを想起して感概の深いものがある。最近の文献を渉猟して聊か所感を述べることを許されたい。
1937年の暮クリスマスの前であつた。或寒い晩雪の道をCrowe教授につれられて行つたBaltimore医学会で同教授のM氏病に関する講演をきいた。これが私がM氏病に関心を持ち,Dandyの手術を知る動機であつた。
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