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耳鼻咽喉科疾患と精神機能との關係
市原 正雄
1
,
渡邊 睦雄
1
,
淸澤 晃
1
1國立千葉病院耳鼻咽喉科
pp.470-473
発行日 1953年9月20日
Published Date 1953/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200973
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1887年GuyeがAprosexia nasalis,Aprosexia auricuralisを提唱して以來,鼻科領域特に慢性副鼻腔炎患者に注意力散漫,記憶力減退等の精神機能に關する障碍のあるは諸氏の記載する所である。
先に余等の1人,市原(日,耳,會,55巻1號)は慢性副鼻腔炎患者の夢を検し,患者の夢の頻度は高く,不快夢多く此を副鼻腔炎患者は神經衰弱者と同樣,患者の意識は不快情緒に依り充されている爲或は鼻呼吸障碍に依る睡眠障碍或は鼻疾患に依る他臓器の障碍に基因するものならむとし,又覺醒時の不快,頭重等の多きは所謂鼻性神經質(鼻性注意不能症)を誘發し又は更に惡化せしむる1因子ならむとしたが,當疾患の精神機能に關する業績は本邦に於ては僅に鈴木・平林,森,早川氏等の報告を見るに過ぎないので,余等は耳鼻咽喉科疾患の中,慢性副鼻腔炎,口蓋扁桃腺炎患者に就て,智能,精神作業能力の検索を施行したが,此と共に向性検査をも行い,聊か興味ある知見を得たので茲に報告し,諸賢の御批判を懇わんとするものである。
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