新書紹介—Prof Pernkopf（著）—「頸部解剖学に就て」

　終職後私達の専門部門には米国医学の特異的発達が紹介されて研究に稗益する所が多かつた。然し西欧医学と疎隔する事は聊か寂寥の感に堪えなかつたのである。今度私は偶然の機会から職前「ベルリン」での医学專門書店として有名なOscar Rothacker書店（Berlin W 30 Buchapester Storasse）と文通する事が出来たのでHaloに関する1952年版を求めた所ウイン大学の権威Eduocd Pemkopf博士（Proffessor Fur Anatomie）の著作Topographisch Anatomie ches Mevoclun（1952年版urbar und Ichwazenheig，Wien）を届けてくれた。本書は，きく倍版の468頁の巨大の書册であつてHaloに関する3巻中の1巻である。他の2巻は未だ発刊されてないが逐次続刊されるそうである。博士はHalsの研究出版について最初の意志に反して第3巻第4章としてTopho jraphiecheとStratgrapkichの解剖学から上梓することにしている。然し之は研究するものにとつて順序として基本概念と研究態度の上から必要である事を信じていると序言で述べている。本書は解剖に関して論述形式と研究観点が今迄に無く綜合的に構成されている点で全く他に類例無き程完璧のものと思われ流石Proffesser Pernkopfの労作に偉大なる敬意を払わざるを得ない。大戰中の教授の研究が如何に困難に遭遇したか想像されるがよく之を克服して研究を継続されている。而して既に1942年頃に本書の準備をしたらしい。戰後（1949）に熱烈な要望が起つて，第1巻を上梓する事になつたのであるが，「オーストラリア」の国情と「ウイン」の物資欠乏の中にかゝる貴重の專門書が素晴らしい内容を以て世に出た事は，西欧医学本流の地たる事を思わしめるものがある。教授の主力は構成図神経分布と神経系統の解明図に注がれている樣だ。目録は詳細を極めているがこゝには省略する特色とする。所は博士が多くの門弟を指導し，又其の協力を得て実に211校の原色描写模写レントゲン写真を挿入してある事で戰時戰後にかけてよく此の樣な研究努力が尽されたものと驚嘆する外はない。