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細網肉腫は緖方教授の記載(1937)以来,本邦に於ては,この名称が広く用いられるに至り,赤崎教授はこれを次の樣に定義されて居ります.即ち細網肉腫とは,細網細胞の悪性腫瘍化したるものである.斯かる細網細胞とは,云うまでもなく,原形質の分化により,格子状繊維を生じ,以て特異な細網織を形成し,或いは遊離して組織球となる能力を有し,加うるに極めて顕著な貪喰機能を有するものを意味する,とされて居るのであります.
この腫瘍は今日未だに極めて議論多く,銀繊維が細網細胞の特産物でないことが明かにされたので,細網肉腫との決定には,細胞学的に細網細胞め由来であることを知る必要のある場合が生じて来,赤崎教授及びその共同研究者は,その方面の研究に多大の努力を払われて居るのであります.赤崎教授は細網肉腫は極めて頻発する腫瘍であり,殆んど総ゆる肉腫の半ばに少いとされて居り(日本医事新報No.1412)那須教授も亦,毎日の組織検査に,これも亦細網肉腫かと驚く位,多いものだと語つて居られたのであります.しかしてその好発部位は,何れの報告を見るも,頭部附近を以て最好発部位とされ,その85%を占めて居るのでありまして,自づと我々耳鼻科医の手に取扱われることが多いのであります.高原高三教授は,これに関し立派な論文を残し,我々のために善き指導標を立てられ,又本年の耳鼻科学会総会に於て,慈大中川氏は過去3ケ年間に於ける40例の検討を述べられたのでありまして,我々のさゝやかな経験を発表するのは,おこがましく感ずるのでありますが,その折,高原教授は,秋田時代には,これに多く遭遇したのであるが,大阪に来てからは,殆んど出会わないが,地域的,或いは時期的に見た統計的観察は如何との質問をされて居た樣でありますので,近々1ケ年間に於ける,我々の4例の経験は,何かのお役に立つこともあると考えるので,あえてこれを発表させて頂くものであります.
TOSABAYASHI anb associates record their experienee in treatment of 4 cases of reticulo-sarcoma with irradiation therapy. Results obtained appeared favorable for a time but the affection in each case soon took a progressive turn and the patients died.
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