Japanese
English
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尿路結核の長期化学療法に合併した上部尿路結石形成について
LITHIASIS OF THE UPPER URINARY TRACT AS A COMPLICATION OF LONG-TERM CHEMOTHERAPY FOR URINARY TUBERCULOSIS
佐藤 昭太郎
1
,
高野 崇
1
,
平田 輝夫
1
,
重野 哲三
1
Shotaro SATO
1
,
Mitsuru TAKANO
1
,
Teruo HIRATA
1
1新潟大学医学部泌尿器科教室
1Department of Urology, Niigata University School of Medicine
pp.461-465
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204357
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I.はじめに
周知の如く,抗結核剤の出現によつて尿路結核の治療及び予後に大きな変化を見た。予後の好転は勿論,治療の原則も全く一変したと言つてよい。以前は専ら手術的治療に依存するだけであつたが,化学療法が治療上に大きなウェイトを占め,場合によつてはこれだけで治癒の期待出来ることも考えられるに至つた。最初化学療法で治癒が期待されたのは極く初期の病変だけであつたが,漸次適応が拡大され,空洞性病変でも比較的軽いものに治癒の可能性が示され,長期化学療法の考えが生れた(大越,1959及び高安・佐藤1960)。併し,治癒といつても結核病巣の治癒は完全治癒Restitutio ad integrumでなく,欠損を持つた治癒であるため,治癒過程に伴つて種々の二次的合併症を生じ得ることが知られた。主として瘢痕性治癒に原因するもので,腎内管腔の変形及び狭窄,空洞の隔絶,水腎症,尿管狭窄,膀胱尿管逆流,萎縮膀胱及び尿道狭窄なとが掲げられた(Karcher, 1960;Szendröi u. Csernus, 1961;及び高安・河路,1962)。この外,我々が長期化学療法を実施したところ,かなりの症例に上部尿路結石の形成を経験し,これが長期化学療法と必ずしも無関係と考えられないので,ここに改めて取り上げてみた。
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