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特集 シンポジウムI.皮膚の病態生化学
皮膚の脂質代謝に関する2,3の問題
SOME PROBLEMS OF THE LIPID METABOLISM IN THE RAT SKIN
田中 宏
1
,
猪股 成美
1
,
羽田 俊六
1
Hiroshi TANAKA
1
,
Noriyoshi INOMATA
1
,
Shunroku HADA
1
1新潟大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.1175-1180
発行日 1965年11月20日
Published Date 1965/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204228
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I.はじめに
皮膚の形態上,機能上の相違にもとづく脂質の分布,その代謝などを究明しようとする試みは,1930年代のKooyman1)やKoppenhoefer2)などの研究にみられる。しかしその試みが真に実り多いものとなつたのは,同位元素追跡子法や各種クロマトグラフィーが脂質研究に応用された1950年前後からである。すなわちヒト皮膚における燐脂質生合成に関するTanaka et al3),コレステロール生合成に関するNicolaides & Rothman4)などの研究以後,表皮およびその各層における脂質諸成分の分布5)6)とそれらの生合成7),身体部位によるその変化8)などが明らかにされてきた。また皮膚をもちいたステロール代謝の研究は皮膚における脂質代謝の知見を急速に増大させた。
この様に皮膚における脂質の分布,代謝などに関する知見は近年拡大しつつあるとはいえ,それにおよぼす諸要因の影響については,いまだ知見が乏しく,とくに肝脂質,血液脂質などのそれに比較したとき,その感が大である。吾々は今回,ラット皮膚の脂質代謝におよぼす食餌,薬剤などの影響について予備的実験をおこない,2,3興味ある知見を得たのでその大要を報告する。
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