Japanese
English
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睾丸ゴム腫の1例
GUMMATOUS ORCHITIS : A CASE REPORT
岸本 孝
1
,
甲斐 祥生
1
Takashi KISHIMOTO
1
,
Yoshio KAI
1
1自衛隊中央病院泌尿器科
1Department of Urology, Self-defense Forces Central Hospital
pp.681-684
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204124
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I.緒 言
梅毒は終戦後一時的の増加をみて以来,減少の一途をたどつていたが,ここ数年来,再び増加の兆があるといわれている。睾丸に生ずる梅毒性変化も,他の梅毒皮疹等の顕症梅毒と同様に,近年再び散見されるようになつてきた。睾丸に認められる梅毒性変化の多くは,一般に第Ⅱ期に生ずる間質性睾丸炎と第Ⅲ期にみられる睾丸ゴム腫の型であり9),これらの変化は既にPhilipp Ricord(1880〜1889)によつて指摘されて以来,現在迄の80年間に多数の報告がなされ,その文献もまた数多い。Fournierに(1893)4)よると,晩期梅毒3429例中145例(4.2%)に睾丸梅毒があり,第3期梅毒患者32例に対し1例の割合に見出されている。またMauriac(1887,1890)18)は100例に1例(1%),Malharbe(1907)16)は10例に1例(10%)の割合で,Löhe(1916〜1629)15)は949例中5例(0.5%)に発見し,Lesser(1904,1908)14)は剖検において133例の結締織性睾丸炎中94例に梅毒性変化を発見している。他方,本邦においても,これらの記載と前後して多数の報告や研究がなされ,1906年(明治39年)に伊藤10)が臨床講義として報告以来,1944年に木下,石井12)が36例を集計し,1956年には大井,藤沢,森島21)が70例を,更に1959年には高安,三浦25)が92例を集計して詳細な報告を行なつている。高安らの報告以後は6例の報告6)8)19)22)24)がみられるが,ここに自験例を報告するとともに本邦報告例99例について考察してみた。
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