Japanese
English
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ジベール薔薇色粃糠疹の組織学的観察
HISTOPATHOLOGICAL OBSERVATIONS OF PITYRIASIS ROSEA GIBERT
宮沢 偵二
1
,
熊坂 鉄郎
1
Teiji MIYAZAWA
1
,
Tetsuro KUMASAK
1
1仙台逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology, Sendai Teishin Hospital
pp.751-754
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203845
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I.はじめに
約100年前(1860年),Gibertによつて始めて記載された本症はその病因が不明な点,及びその症状が他の皮膚疾患,例えば脂漏性湿疹,自家感作性湿疹或は中毒疹の或る病型と類似する点等より,皮膚科学における分類上の位置は極めて不明確なものとされてきた。Gans1)の成書にはMy—kideの項のAnhangに本症を記載されて居り,多くの成書では原因不明の疾患,或は炎症性角化症の中に取り扱われている。最近では本症には再発をみない点よりウイルス性疾患を考慮する学者2)3)もある。組織学的には諸家の研究を一言にして言うならば非特異性炎症像として理解されているに止まつている3)4)。
私達は本症を組織学的に観察する機会を得たので,本症が組織学的特異像を有するであろうか,したがつて組織学的検査が本症診断の大きなより所となるであろうか,更に病因究明の一つの手がかりになるであろうかという考えの下に検討を進めて来た。皮膚切片の採取にあたっては特に皮疹の性状に留意した。即ち皮疹は楕円形を呈し,その長軸は割線方向に一致すること,境界鮮明であり,縁辺近くに環状鱗屑を被り,中心部は炎症消退し,稍々蒼紅色を帯びるもの,部位としては躯幹を中心として四肢にひろがるもの,経過としては急速にひろがり,治療に抵抗し,1ヵ月以上の経過を有するものを鏡検の対象とした。鏡検した切片は,6例より得た10切片である。その他ジベール型中毒疹3例,ジベール型自家感作性湿疹1例を鏡検し,参考とした。
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