文献紹介
頭部白癬のヘアブラッシ診断法,他
pp.335
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203744
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頭部白癬の診断に当つて,原因菌がウッド灯で螢光を発せず,病変が僅微な症例においては臨床的診断は甚だ信頼に値しない。著者はベルファスト市附近の寄宿制女子学校における白癬の流行を根絶した方法について報告している。診断法としてヘアブラッシ法なるものを行なった。すなわち髪をすいたヘァブラッシの毛を,ペトリ皿に入れた培地(ペニシリン,ストレプトマイシン,チクロヘキシミド加麦芽寒天)の中に数回押しつける。これを26℃に保っと各接種点から菌の集落がはえるのである。集落の数は感染度の半定量的示標ともなる。生徒(4〜14歳)は全くこれを臨床的に診ることなく,始めからヘアブラッシ法の菌分離によつて感染の診断を下し,治療中も本法によつて感染の存否を追究した。分離された菌はすべてTricho—phyton tonsurans var.sulfureumで,これはウッド灯陰性である。全生徒120名中13名が感染の診断を受け,これにグリセオフルビンの治療を行なつた。9ヵ月を経てから続けて4回本法を行なつたが,どのブラッシからも菌を分離し得ず,本法によつてこの学校から白癬を根絶し得たと考えられた。
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