Japanese
English
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尿管損傷による下腹部尿瀦溜腫—Boari法による治験例
RETENTION CYST OF URINE IN THE LOWER ABDOMEN DUE TO URETERAL INJURY:THE USE OF BOARI METHOD
阿部 厚三
1
Kōzo ABE
1
1市立赤平病院皮膚泌尿器科
1Department. of Urology & Dermatology Akabira Municipal General Hospital
pp.1011-1014
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203629
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I.緒言
各種骨盤内臓器の手術特に婦人科的疾患の手術にさいし下部尿管の損傷を来たし,術後尿管腟瘻の形成をみることは左程まれではない。特に子宮剔除が行なわれ骨盤底に子宮が存在しない場合には,骨盤底の抵抗が弱いため容易に腟に穿孔路を形成することが考へられる。しかし破綻尿管よりの浴流尿が腟に瘻孔を形成して体外に流出せずに骨盤腔内に潴溜し腫瘤を形成して腹膜内容を圧迫し腸閉塞様症状を呈する例は比較的まれである。またかかる尿管損傷の治療法として,最近尿管の各種形成術の進歩とともに,尿管膀胱新吻合術や尿管の端々吻合術などが盛んに用いられてきている。しかし尿管下端と膀胱との距離が離れすぎていたりまた損傷部以下の尿管がすでに尿路として使用不能の場合にはこれらの方法を行なつても失敗の可能性が強い。
われわれは最近子宮および左附属器剔除後発生した下腹部尿瀦溜腫症例に遭遇し,Boariの膀胱弁利用尿管形成術によつて治癒せしめ得た症例を経験したので報告したいと思う。
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