文献紹介
鞏皮症の分類,他
pp.868
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203364
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古い教科書では一般に鞏皮症を限局形と瀰慢形とに分けている。しかし後者には異なる疾患が含まれる。すなわち全身性症候を示すものと然らざるものとである。全身性内臓病変を有する鞏皮症は既に前世紀から研究され,明確な一疾患である。これは膠原病に関連があり,その,発症機序は自己免疫によるかも知れない。早期症状はRaynand現象,知覚異常,関節痛,筋無力,不快感,体重減少であり,やがて皮膚の硬化が指から手,前腕,顔面,頸,上胸部に拡大する。手は特異な屈位を示し,顔面は鞏皮症仮面を生ずる。内臓は実質並に間質の変性的,炎症性および線維性病変を示し,消化管,特に食道,腎,肺,心,血管が侵される。発病からかかる症状の発現までの期間はいろいろである。コルチコステロイドは奏効しない。常皮症が末梢に局在するものにHutch-insonは既に1896年に末端鞏皮症(Acroscleodermia) と名付けた。Selleiはそれを再び記載し,末端硬化症(Acrosclerosis)と称した。メイヨー・クリニクの学者はSellei概念を保留し,Raynaud現象,嚥下困難,関節痛を伴う慢性で比較的良性のものを末端硬化生として,躯幹まで広く皮膚を侵し,早期に重い内臓病変を生ずる汎発性進行性誰皮症と対立させた。しかし後の研究によれば,この2つは臨床的に両極端を示し,その中間の症例もあつて,全身性常皮症をさらに小分けすることは無用である。
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