Japanese
English
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セミノーマの根治治療に続発した腸狭窄の1手術死亡例について
A EXPIRED CASE BY INTESTINAL OBSTRUCTION FOLLOWED BY SURGICAL AND RADIOLOGICAL SEMINOMA THERAPY
根本 達久
1
,
三穂 乙実
1
,
新井 昭雄
1
,
河村 純郎
1
T. NEMOTO
1
,
O. MIHO
1
,
A. ARAI
1
,
J. KAWAMURA
1
1東京慈恵会医科大学大井外科教室
1Department of Surgery, The Jikei University School of Medicine
pp.531-536
発行日 1961年6月1日
Published Date 1961/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203075
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I.緒言
悪性腫瘍の治療にあたつて常に悩まされる問題は,病巣の完全な根絶をはかることと,その操作を個体に障害を及ぼすことなく達成することとの二つは両立し難いという点であり,完全な根絶はそのためしばしば断念せざるを得ない破目におちいる。完全な根絶を強行して,手術侵襲の過大をひきおこし手術死を招くという経験は,外科医ならば誰でもがもつている苦がい経験である。ここに報告する症例は,このような手術死の不幸もなく,転移巣も含め病巣の根絶は完全に成功しえた症例で,この意味での目的はよく達成されているが,転移巣の撲滅策が過大にすぎて腸狭窄をおこし,そのために死亡した症例であり,結局のところ,真の根治は失敗に帰してしまつた。あらためて悪性腫瘍に対する治療の限界を痛感させられた症例である。
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