皮膚科図譜・112
Stasis dermatitis
水野 信行
1
Nobuyuki MIZUNO
1
1東大皮膚科
1Department of Dermatology, Tokyo University.
pp.662-663
発行日 1960年8月1日
Published Date 1960/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202867
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説明(皮膚科図譜112)
〔患者〕24歳,女子店員。生来凍瘡にかかりやすいが,その他誘因となる疾患を認めない。5年来現在の職業にあり,3年前から左下腿下部に紅斑,結節を生じた。結節は外科医により摘除術をうけ,以来半年間,対症保存療法を行うも手術創は治癒せず,更に結節の増加をみた。約2カ月前に両下肢の静脈瘤に気づく。
現症:体格大,肥満型。両側下肢,特に左側に強く表在静脈の拡張,蛇行し,また左下腿は全体に腫脹している。左足関節から下腿の下半分にかけて暗赤褐色斑あり,弾力性硬,瀰漫性に深く浸潤する。この斑上及び他の下腿部分に拇指頭大までの真皮皮下結節約10ケ散在し,表面暗赤色乃至正常皮色,弾力性硬,圧痛あり,一部は静脈走行に一致して配列する。左下腿の伸側及び外側に直径3cmまでの円形潰瘍3ケあり,血痂で被われ,その周囲及び下部は浸潤が強い。下腿内側には約10×3cmの手術瘢痕あり,その上端は深い潰瘍を形成し黄色の膿を排出する(写真1)。
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