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皮膚及び粘膜リポイド症の1例
伊崎 正勝
1
,
堀内 敏子
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.1027-1031
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201550
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皮膚及粘膜リポイド症Lipoidosis cutis etmucosaeは稀な皮膚疾患の1つで,先天的に嗄声を有し,皮膚及粘膜に一種固有の病変を示す疾患である。UrbachはWietheと共に1929年に本症に就き詳細に研究し,その本態は,先天的異常に基く全身性及局所性の脂肪代謝障害によるものとした。併しその本態に関しては,猶諸説区々で不明の域を脱して居らず,近年Holz-Schulz,Braun-Weyhbrecht,更に片岡教授等は蛋白代謝障害を寧ろ重要視し,本症をHyalinosis cutiset mucosaeと称すべきであると述べている程である。1908年にSiebermanが本症の第1例を"Über Mitbeteiligung der Schleimhaut beiallgemeiner Hyperkeratose der Haut"なる表題の下に皮膚肥厚及び口腔粘膜の黄色斑を特徴とした稀な症候群として記載して以来,私共の知り得たところでは,欧米に48症例報告され,本邦に於いては片岡教授によりその第1例が1953年に発表されているのみである。
私共は本症と思われる1例を偶々経験し,種々興味ある所見を得たので茲に報告する次第である。
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