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「レ」線陰影陰性結石を藏する尿管瘤症例
金沢 稔
1
,
三毛 俊弘
1
1和歌山県立医科大学泌尿器科教室
pp.231-235
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201405
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尿管瘤(Ureterocele)なる語は,UreterとHerniaを意味する二つのギリシヤ語より来ているが,本疾患は1935年Hunnerが10例を報告し既往文献について述べているが,彼によると本症は1835年Lechlerによつて報告されたのが最初であり,膀胱鏡が普及されぬ頃は専ら剖検によつて診断されたもので,1906年Adrianは,52例の本症を集めているがその内生前診断され得たものは12例に過ぎない。膀胱鏡が普及されてから報告数も非常に増加して,1941年Campbellは32例の自家症例を報告しているが,O'conorは膀胱鏡検査の2%に本症を認めていると述べている。本邦に於ても尾形氏が大正12年最初の本症例を報告して以来,土屋,鋤柄両氏,大越氏等の詳細な報告があり,現今では本疾患に遭遇しない泌尿器科医はない位になつていると云われている。
本疾患は尿路の感染や結石を合併した場合症状を発現するのが通常で,本症に結石を合併した症例の報告は勘くないが,「レ」線陰影陰性結石を伴つた症例の報告は稀である。今般私達は,「レ」線陰影陰性結石を蔵した右側尿管瘤に接したので過去に於ける本邦文献中より結石を蔵せる本症例を蒐集して観察してみた。
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