--------------------
エリテマトーデスの統計的観察,併せてそのビタミンB12の治験成績について
佐野 榮春
1
,
宮澤 勳
1
,
黑田 政重
1
1神戸医科大学皮膚科泌尿器科教室
pp.339-342
発行日 1954年6月1日
Published Date 1954/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201214
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
エリテマトーデスはその病因治療の面で古くより興味のある疾患であるが,近時膠原病の概念が導入せられ,それに関連して内分泌学の著しい発展をみるに従い益々注目を浴びるようになつた。その原因及び病理については種々論議され,古くは結核,梅毒説,中毒説から,伊藤教授の唱える伝染性アレルギーとBiotriopisme説,更に内在的病的過程に対する一皮膚反応形態となすもの,とくに病理学的に全身膠原組織の変化に重きをおくもの,更に血清学的に所謂L.E.Cellの問題等,各方面から研究のメスが向けられている。しかし未だ之等をもつて本症の本態が満足に解明せられたとはいえない現状にある。又東北大(伊藤,山内,山内)千葉大(竹内)東大(北村等,高瀨)京大(浜口)金沢大(松田)九大(藤村,安藤,荒川)等各地から詳細な統計的観察或は治療成績が報告され,特に戦後に於て益々多くみられる事は本症がいかに魅力のある研究対照であるかを如実に物語るものである。
今回我々も最近数年間に神戸医大皮膚科を訪れたエリテマトーデスにつき統計的観察を行つたが,残念ながら検査が極めて不十分でその病因や本態に深く立入る資料を持たないので,簡単に臨床統計の報告にとどめる。尚最近本症患者にビタミンB12を使用したのでその効果につき附記する事とする。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.