泌尿器科圖譜・27・28
膀胱結石を伴える前立腺結石(875個)の1例/巨大膀胱乳頭腫
伊藤 巖
1
1市立小樽病院皮泌科
pp.69-70
発行日 1954年2月1日
Published Date 1954/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201143
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患者:塚○伊○♂59歳,39歳時作業中,會陰部受傷その後より會陰部に瘻孔を發症,それ以後完治せず,次第に殘尿感高まり,その上,昭和27年12月以來會陰部の疼痛も強くなつたため28年6月受診したもので,初診時,兩腎共にふれず,膀胱部に壓痛あり,睾丸は兩側共著變をみぬが,副睾丸は兩側共に小指頭大に腫脹し,精管に著變ない。會陰部には3コの尿瘻あり,尿道はブジーを挿入すると約12cm迄は挿入可能であるが,それ以上は挿入不能であった。前立腺部には鷄卵大嚢状凸凹不平の硬い團塊を觸れる。瘻孔部はリゾンデを挿入すると前立腺部に於いて,結石をふれる感じである。その後X線診斷により膀胱結石及び前立腺結石と診斷(第1圖及第2圖)28年7月8日高位切開術により,結石摘出術を施行した。摘出した前立腺結石は,粟粒大〜小豆大で875個を算え,炭酸鹽が主成分であつた。本邦症例としては最多數である。膀胱結石は楕圓形83g,6.6×4.5×3.3cmで尿酸鹽炭酸鹽が主成分である(第3圖)。
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