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結石を伴える後下大靜脹性尿管の經驗例
井上 彦八郎
1
1新潟大學醫學部泌尿器科教室
pp.84-86
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200676
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後下大靜脈性尿管は尿路奇型の内で比較的稀なものとされており,現在迄その報告は歐米でHe-slil and Mamonas(1951)の報告迄52例,本邦では篠田氏(1950)の1例,野崎,小西氏等の1例(昭和26年5月5日,第112回東北,第95回北海道合同地方會に於て發表),及び本教室竹山(1951)の1例を加えて8例,計60例に達しているに過ぎない。本疾患の症状,診斷及び治療法に關しては現在迄概ね記載されて來ており,殊に尿路X線診斷の發達はその術前診斷を可能にし,尿管の整復手術も技術の向上と共に完全に近い域に達している。而るに一方本症に他の泌尿器科的疾患主として腎結核又は上部尿路結石が合併した場合には,臨床像は非常に複雑化する事は言をまたない。即ち症状は合併疾患に陰蔽せられ,且つ諸検査の施行も不可能となる場合も多く,往々にして確實な診斷を下し得ないで見逃される事がある。又之等合併症の内上部尿路結石を合併した症例は稀有とされている。私は最近右尿管結石を合併した後下大靜脈性尿管の1例を經驗し,尿管截石術と共に尿管の整復術を施行し,見るべき結果を得たので症例を追加すると共にいさゝか知見を述べる。尚お本症例は後下大靜脈性尿管の本教室の第2例目であり,整復術の成功した我國第2例目である。
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